海の花は雪
「…あの…ずっと気になってたんですけど…」

「何ですか?深谷君」

修子ちゃんが微笑みながら、たずねた。

「…王印って、どこにあるんですか?」

「いい所に気がつきましたね〜深谷君」

さらにニッコリと笑って、修子ちゃんは答えた。

「王印は陛下の執務室の、机の二番目の引き出しに…」

「戸川先生…大変申し上げずらいのですが、陛下の執務室のあった場所は、廃墟と化してましたよ?」

山形さんが明るく、とんでもない事実を言い放った。

「あら…それは本当ですか?困りましたね〜どうしましょうかね〜深谷君」

「…」

眉をしかめて深谷君は、静かに押し黙った…

「あの、何だかすみません…」

ナゼか、とてもすまなそうに高田さんが謝った。

ああ…間違いなく高田さんは、陛下ですね…

「高田さんは、何も悪くないですよ〜?う〜ん…でも、そうなると、探せばその周辺にあるという事ですかね〜?」

何だか砂漠の中から、米粒を見つけるような事を、修子ちゃんが口にした。


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