海の花は雪

「いや…ちょっと待てよ？深谷君、大丈夫だよ！王印は陛下の手で、地上に持ち出されているよ…｣

山形さんが眉間に指を当てながら、記憶をたどっている…

「え？それは本当ですか？｣

修子ちゃんが、高田さんに向かってたずねた。

「え？え？…そうなんですか？｣

今度は高田さんが、山形さんに向かってたずねた。

どうも、思い出す前世の記憶には、個人差が激しくあるようだ…

現時点で一番頼りになるのは、山形さんの記憶のようだ、が…

「…たぶん…断片的ですが、夢で見た事があります…｣

「じゃあ…って地上にある方が、むしろ雲をつかむようなものじゃないですか？！｣

自分は思わず。突っ込みを入れてしまった。

「いや…そうでもないんだよ、ハル君…王印はね、陛下から、フレアに継承される事になるんだよ…｣

「え？｣

一斉に、視線が自分に集中した。

「え？オレですか？！オレがどっかに置いたって事ですか？｣

全く身に覚えがない記憶を、オレは一生懸命に思い出そうとした…