海の花は雪
「そろそろ、掘り起こしに行きましょうか?日が暮れる前に」

「ああ、そうですね!急ぎましょう」

高田さんはスコップを持ち直すと、先頭を切って歩き始めた。

「あ〜忘れてた、タイムカプセルか〜ワクワクするな〜」

ハル君も、元気に歩き始めた。

深谷少年は僕の方を見ると、目でたずねてきた。

「…さっしがいいな〜あんま、楽しいシチュエーションじゃなかったよ、その記憶は…」

僕は、王印と双子水晶が封印されている図書館を目指しながら、今朝方見た夢の内容を思い出していた…





「ごめん、フレア…仕事でしばらく、ここを離れるけど、絶対帰って来るから…」

僕はプイッと、横を向いてしまったフレアの横顔を見ながら、彼女のそばから離れる理由を説明した。

「…仲介役として僕が行くのが、良いと思うんだ。スフォルト王子も知っている顔がいる方が、交渉しやすいだろうし…」

僕は事実だけを話した。

「…絶対帰って来る?」

フレアは横を向いたまま、小さく呟いた。
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