海の花は雪
長いウェーブのかかった金色の髪が、顔にかかり表情を隠している…

「もちろん!当たり前だよ、仕事にメドがついたら、1・2年はかかるけど、戻って来るよ…」

「…ユラも…私を置いて行ってしまうのね…」

美しい女性に成長したフレアの目から、はらりと涙がこぼれ落ちた。

僕はあわててて、向いの席に座るフレアに手を伸ばすと、涙を止めようと必死でしゃべり続けた。

「わぁ〜泣かないでフレア〜すぐに帰って来るから!あっとゆ〜間だよ!ほら、ロイズがいるじゃないか〜」

僕は、あまり意味がない事を口にしていた…



昼下がり…風が爽やかに吹いている中庭に、僕はフレアをお茶に誘った。

春の穏やかな日差しが、木々のすき間からこぼれ落ちて、僕らが座っている白い丸いテーブルの上で、ゆらゆらとゆれている…

温かかった紅茶はすっかり冷め、僕は渇いたのどを潤すために、一気に飲み干した。

辺りに人はおらず、いつもなら、ひっそりとフレアのそばにいるハズのロイズも姿を消している…
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