海の花は雪
自分で何とかしなさい…と、暗に言われているようだ…

中庭から見える廊下の白い柱の影に、思わずロイズの姿を探して、僕は目が泳いだ…

「…分かった…元気でね…」

うつむいたまま、フレアは小さな声で言った。

「うん…フレアも元気でね…」

僕はいたたまれず…フレアを一人、中庭に残すと建物の中へと入って行った。

そして、長い廊下に並ぶ白い柱の影に、探していた姿を見つけると、僕は言葉にならない声をかけた。

「はぁ…」

「…お疲れ、ユラ…」

ロイズは僕の顔を見ると、ねぎらいの眼差しを向けた。

その顔を見て、ホッとした僕はロイズの肩に手を置くと、顔を胸にうずめた…

「…キツかった〜…思わず、行くのを止めようかと、言いそうになる所だったよぉ…」

「…良くやったな…行くんだろ?」

「うん…」

「いつ?」

「一週間後…見送りはいいから…一生帰って来ない訳じゃないからね…」

僕はロイズに体をあずけたまま、苦笑した。
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