海の花は雪
「…当たり前だ…ちゃんと帰って来ないと、フレアが悲しむ…」

ロイズの大きな手が、僕の頭をなでた。

顔を上げてロイズの顔を見ると、ロイズはフクザツな表情を浮かべている…

「…もしかして、フレアも知っていたりする?」

「ああ…幸せにな…」

「あちゃ〜…そっかぁ…」

僕は頭を抱えると、再びロイズの胸に顔をうずめた。

「…行くんだろ?一緒に…」

「うん、ありがとう…フレアの事、頼むね…」

「ああ…」

僕はロイズを抱きしめた。

いつの間にか伸びた自分の身長に、時の経過を感じてちょっと切なくなる…

あれから長い時が過ぎて、僕も大人になって…

ずっと、フレアのそばを離れないと思っていた自分が、一週間後には新しい土地へと、旅立つ事になるなんて…

フレア以外の人を好きになるなんて…あの頃の自分に、想像出来ただろうか…?

「…ちゃんと帰って来いよ?待ってるから…」

「…うん…」

ロイズの優しい声が、゙自分を責めるな…゙と言っているようだった…
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