海の花は雪
つられて少し笑うと、僕は扉を開けて、その部屋を出て行った。

ふり向かないように、足早に廊下を歩きながら…僕はフレアの後ろ姿を思い出していた…



「…フレア…」

ロイズはそれ以上かける言葉が、見つからなかった。

「…行っちゃったね…もう、帰って来ないかも…」

フレアは背中を向けたまま、声もなく泣いていた。

「…帰って来るよ…ユラが、ウソついた事ある?」

フレアはその問いには答えず、執務室から中庭へ直接通じる扉を開けると、出て行ってしまった。

ロイズは少し考えてから、フレアの後を追うと噴水の近くを歩いている所に追いついた。

「…フレア…」

「…結構あるわ…」

「え?」

「ユラのウソ!」

はぁ…とロイズは小さくため息をつくと、そう言えばそうだな…と自分の失言を悔い…

「…じゃあ、私の言葉は?」

と、問いかけてみた。

フレアはしばらく黙った後、ふり返えると答えた。


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