海の花は雪
「…信じるわ…」

「ユラは帰って来るよ…」

「うん…」

フレアのきゃしゃな体が、ロイズの胸にもたれかかった…

風にゆれる美しい金色の髪に、そっとふれるとロイズは優しく頭をなでた。

「…ロイズは、どこにも行かないで…」

「…」

「私の一生のお願いよ…」

「ああ…分かった…」

ロイズは泣いているフレアに、そう答える事しか出来なかった。





「晴れて良かったね〜」

僕は海から吹く潮風を感じながら、ゆるやかな丘を歩いていた。

手にはスコップと、サンドイッチと飲み物が入ったバックを肩から下げて、秋の高い空を見上げた。

「ああ、本当にな…」

僕の言葉に答えてくれたのは、すぐ隣を歩いていたロイズだ。

その姿は相変わらずなんだけど、髪には白いトーンが増え、伸ばしていた髪は肩先ほどで切っていた。

まぁ…自分も人の事は言えず、金髪が銀髪に変わり、長かった髪も切ってしまったけど…

こんなゆるやかな丘を歩いているのに、息が上がってしまうのが、年を取った事実を物語っている…
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