海の花は雪
「…あれ?ロイズ…あの大木は?」

あるハズの物が見当たらない…代わりに一軒の家が建っていた。

「…この間、嵐の日に雷が落ちて、燃えてしまったよ…」

「そっか〜残念だなぁ…目印がなくなっちゃったね…」

「ああ…」

「ところで、さっきから気になってるんだけど、あの家は?」

平家の小さなログハウス風の家が、大木の立っていた近くに建っていて、海を臨むように木のベンチが一つ家の前に置いてある…

「ああ…あれはフレアの家だよ…女王の仕事を引退したら、あそこに家を建てて隠居するんだって、良く言ってたから…」

良く見れば、フレアは手ぶらではないか…

「二人とも早く〜お茶を入れるわ〜」

フレアがふり返って、手をふっている…

長いウェーブのかかった金色の髪は、そのままに…一つに結い上げ、その穏やかな笑みは昔と変わらない…

僕らは時間を逆のぼり、記憶は、楽しくて幼かった日々を思い出していた。

あの時は、まだ僕らは海底に暮らしていて…

何も心配する事なく、いつも守られていた…
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