海の花は雪
「…あれ?」

「ふふふ…」

その扉の向こうには部屋でも外でもなく、木の壁がドンと立ちふさがっていた。

「…これなら間違って中に入ろうとは、思わないだろ?寝ぼけていない限り…」

後ろで黙って見ていたロイズが、ボソリと言った。

「大丈夫なの?これでも、向こうに行けるの?」

「ああ…じゃあ、裏口に回るか…」

「え?」

「実際、双子水晶を埋めるのは外なのよ、床を引っぺ返してもいいけど、大変でしょう?」

「なるほど…」



スコップを片手に家の裏手に回った僕らは、早速あの扉がある下の地面を掘り起こし始めた。

「〜どんだけ掘るの?ロイズ〜」

ザッザッと土を掘り返しながら、いい加減疲れてきて僕はたずねた。

「…深ければ、深いほどいい…」

「本当〜?もしかしてロイズ、昔もこーやって掘って埋めたの?双子水晶」

「ああ…」

黙々と手を休めずに、ロイズは答えた。

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