海の花は雪
「へーあまり見た事なかったけど…」

その王印にはフレイヤース語で、゙王位を継ぐ者゙と書かれていた。

「…それを埋めるの?」

「ええ…もう必要ないから…」

「そっか…」

「…ユラは何を持って来たんだ?」

「ん?僕は…」

いろいろ考えたあげく、思いついた品を僕は首からはずすと、手の平に乗せて見せた。

「これ、あの時の…いいの?埋めて」

「うん、もういいかなって…大事な物って言ったでしょ?だから埋めるんだよ」

見納めとばかりに僕は愛おしげに、そのペンダントを見つめた。

海底のフレイヤース王国に、スフォルト王子とアルペジオが訪れた記念にと、ロイズが買ってくれた物だ…

「…ロイズは?」

フレアは、そのペンダントを懐かしげに見つめると、たずねた。

「…これを…」

ロイズが上着のポケットから、無造作に取り出したのは…

「…手紙?」

フレアと僕の声が重なった。

「ああ…」

しっかりと封のされた封筒を、ロイズは見られたくなさそうに、さっさと箱の中に入れてしまった。
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