海の花は雪
「ほぉ…これがタイムカプセルですか〜キレイな箱ですね〜」

はぁはぁと息が上がって、汗と泥まみれになった肉体労働者をよそに、戸川先生は感嘆の声を上げた。

「本当にキレイですね…」

高田さんは爽やかにタオルで汗をふきながら、その美しい装飾が施された箱を見つめた。

夢の中で見た通りの箱を目の前にして、僕は感動した…



結局、タイムカプセルを地中から掘り出したのは、僕とハル君と高田さんで、小さなシャベルを持った戸川先生と深谷少年は、黙って作業を見守る事になった。

途中、深谷少年が申し訳なさそうに、代わろうかと申し出てくれたけど、ハル君と高田さんがガンとして、その申し出を断ったのだった…

戸川先生は、そんな深谷少年を見て…

「深谷君は、お優しいですね〜」

と優雅に微笑んだが、一度として手伝うとは言わなかった…

女性だし…体力なさそうだし…

でも何かスッキリしないのは、何でなんだろうなぁ…
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