海の花は雪
「…覚えていません…」

「さすがルドですね…そこまで分かるとは…」

僕は感心して言った。

「いえいえ…じゃあ、お願い出来ますか?生島君」

ハル君は、ちょっと緊張すると箱のフタに手をかけた。

全員が見守る中、遥かなる時を越えたタイムカプセルのフタが今、開かれた…

「ほぉ〜…」

全員の口から、感嘆の声がこぼれた…

箱の中に入っていたのは、ラピスラズリで出来た小さな箱と、クリスタルのペンダントと、黄ばんだ封筒が一枚と、高さ10センチぐらいの、六角柱の形をした透明な水晶だった。

「…これが、あの双子水晶ですか…素晴らしいですね〜」

まず双子水晶に関心を寄せたのは、戸川先生だ…

「ハル君、その青い箱に王印が入っているよ…開けてみて?君の物だから…」

僕はタイムカプセルと呼ぶには美しく、贅沢な箱の中を指しながら言った。

ハル君はうなずいて、地面に慎重に箱を置くと、小さな箱を取り出した。
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