海の花は雪
そう言えば深谷少年は、ハル君の家に一泊したまま、学校に来ているんだっけ…

何気に、僕を見る先生の視線が痛い…

「…先生…昨日は僕ら、疲れて寝ちゃったんで…一晩中、少年を寝かせなかったとか、なかったんで…」

「本当ですか〜?深谷君」

先生は疑わしい目で僕を見た後、少年にたずねた。

「はい…」

「なら問題ないですね〜明日はいよいよ、その手首が戻る日です…上級魔法を使う事になるので、体調には気をつけて下さいね〜」

先生は目を細めて、深谷少年の左手首に巻かれた包帯を見つめた。

「はい、では帰ります…再発動、大丈夫ですか?」

少年は、ちゃぶ台の上の双子水晶を見ながら言った。

水晶は深谷少年の手で発動を停止してから、ここに持って来たのだった。

その辺の雑用はロイズが得意とする所で、一手に任されていたようだ…

「ええ、大丈夫ですよ〜?曲がりなりにも、大魔法士ルドですからね〜」

ふふふ…と、楽しそうに先生は笑って答えた。

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