海の花は雪
自動的に照明が付き、見渡すと、天井と床の他には何もない広大なフロアが広がっていた…

それぞれに投げ出され、先生とハルの他に動き出せる者はいないようだ。

山形さんと高田さんは、衝撃が抜け切らぬようでピクリともせず、放り出された時のままの姿勢で固まっている…

そもそも…どうして、こんな状態にあるのかと言えば、海底探検当日…数十分前に、戸川先生が海底の研究所で発した言葉から始まる…


「…時間を節約しませんか〜?私達この間、宮殿に行く別ルートを見つけたじゃないですか…ねぇ?深谷君」

このアイデアに異を唱える者はなく、大賛成で乗っかったのは言うまでもない…自分一人をのぞいては…

確かに、魔法のタイムリミットが一時間と限られている中での作業だ…

移動時間の短縮が出来たにこした事は、ないのだけど…



「…誰ですか…?このシステム考えたの…」

やっと口を開けるようになった山形さんが、ポツリと呟いた。
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