海の花は雪
「…あっさり、ゲットですね〜」

先生は図書館の貸し出しカウンターの机に、二つの印鑑を並べた。

一つは地上から持参した王印…もう一つは図書館の館長印だ。

「…で、どうするんですか?戸川先生」

にこやかに、高田さんがたずねた。

「そうですね〜高田さんは、今から私と一緒に下の階へ行って頂けますか?」

王印を高田さんに渡しながら、先生は答えた。

「はい…でも私に、本当に使えるのでしょうか?」

自信なさ気に、高田さんは王印を見つめた。

「…たぶん」

「…やけに間があったね、修子ちゃん…」

ハルが突っ込んだ。

「ほほほ…いえね〜私、早い時期に亡くなっているじゃないですか?だから、フィルからフレアに王位が移った時、王印の継承がどういう形でされたのか分からないんですよね〜」

「…何も…していないと思う…」

自分は何となく、そう呟いていた…

「僕も思い出せないけど、そんな気がするよ…」

山形さんも同じ意見だ。
< 299 / 369 >

この作品をシェア

pagetop