海の花は雪
「あはははー地元だーーっ」

良く見れば、見慣れた浜辺で…左手にゆるやかなカーブを描いて突き出てたガケの上に、これまた見慣れた、うちの学校の校舎が見えるではないか…

「助かったねー深谷君、うちの学校の図書館と、あの研究所が一直線上にあるとは…あははははー…あっ!」

ハルがいきなり起き上がると、背中に背負っていたバックの中から、MDウォークマンを取り出した。

「〜あ〜やっぱり入ってた…完全におしゃかだ…」

ハルはそう言うと、残念そうにMDウォークマンをなでた。

「…ハルがそうならなくて、良かったよ…」

心からそう思うと、安心して笑ってしまった。

「え?」

ハルは、なぜか驚いた顔をして自分を見ている。

「…何?」

「いや〜深谷君は、天然のたらしだな〜って思ってさ〜」

言いながら、なぜか顔が赤くなっている…

「?…たらしって?」

聞いた事のない言葉に、聞き返した。

「いや〜将来が楽しみだな〜って事さ」

「?」

「よし!じゃ、行こうか」

「え?どこへ?」

「オレん家近くだから…そのかっこうで帰ったら、お母さん驚くよー?シャワー浴びてさー、あー洗たくもかー」

ハルは立ち上がると、先にドンドン歩いて行く…

ゆっくり立ち上がると、その後について自分も歩き出した。

ふと海を見ると夕日が水平線に落ちて、海が金色に染まっていた…
< 30 / 369 >

この作品をシェア

pagetop