海の花は雪
「使える文明の力は、使わないと…ね?」

そう言って先生は、バックから小さな物体を取出すと、目の前でケースから出した。

「…デジカメ?!」

全員が、口をそろえて言った。

「ええ〜」

慣れない手つきでデジカメを操作すると、先生は海底で写してきた画像を、一つ一つ出していった…

「あ、これ…!」

何枚か、呪文の書かれたものの中に、自分が探していた呪文を見つけた。

「ああ〜やはり深谷君も、この呪文だと思いますか〜?画像がキレイなので、助かりますね〜これなら何とか、行けそうでしょう?」

先生がニッコリと、微笑んだ。

自分はあまりの用意周到さに、グウの字も出ず黙り込んだ…

゙さすが大魔法士ルド゛

その場にいる全員が、そう思ったに違いない…

「まぁ…何はともあれ、良かったね、深谷君!これで元の手首に戻れるよ」

ハルが嬉しそうに微笑みながら、自分の頭をなでた。

ボンヤリと、その笑顔を見ていると、もう大丈夫なんだと思ってしまった…

まだ何も、終わってはいないのだけれど…
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