海の花は雪
「ふふふ、まさか…ただの海水ですよ?図書館で思いつきましてね〜?」

先生はそう言うと、表紙の文字が書かれていそうな所に、海水を一滴二滴と、ふりかけました。すると…

「…何も起こらないね、修子ちゃん…」

「そのようですね…」

生島君と私は、残念そうに言いました。

ところが、深谷君と山形さんは難しい顔をして本を見つめています…

そして当の先生までも首を傾げて、本を見つめているではありませんか…?

「う〜ん…想定内と言えば、想定内ですけどね〜」

「…これで戻るのなら、苦労はないですよ…」

先生と同じ考えらしい深谷君が、言いました。

「え?いったいどういう事ですか?」

私は意味が分からず、たずねると山形さんが答えてくれました。

「そもそも、文字が消えた事が解せないんですよ…だって、外気の間で王子達は、本を読んでいましたからね…」

「はぁ…」

「あ、そっか!あの時点では、外気にふれても文字は消えてないですよね」

生島君が納得して、手を叩きました。
< 335 / 369 >

この作品をシェア

pagetop