海の花は雪

〈深谷君→山形さん〉     「夏の宴…思わず口がすべってしまい…」

「カンパ〜イ♪」

「お疲れ様でした〜♪」

打ち合わせたビールの缶が、コンと軽快な音を立てた。

キンキンに冷えたビールを一気に飲み干すと、示し合わせたように、ハル君と一緒に缶をテーブルの上に置いた。

「プハーッ、最高にいい気分〜」

僕はそう言って、植物園のようなハル君の部屋の床に寝転ぶと、両腕を伸ばした。

クーラーで冷えた、フローリングの床が心地いい…

ハル君を見ると、赤いソファーにもたれかかって天井を仰いでいた。

「あ〜本当に終わったんですね〜ははは〜何か信じられないな〜」

テーブルの上にはハル君が手際良く用意した、チーズやサラミやクラッカーのつまみが、ビールの他にのっている…

「だよね〜?不思議まんさいの、夏休みだったもんね〜」

「そうなんですよ〜気づけば、夏休みも後わずかだし…」

「そう言えば、例の彼女とは連絡取ってるの?」

「あ〜そう言えば、おしゃかになったケータイ、ほったらかしでした」

「それって、やばくない〜?夏休み明けたら、フラレてた…何てあるかもよ〜?」
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