海の花は雪
「…ハル君?」

気づくとハル君はソファーの下の床に寝転んで、すやすやと寝息を立てていた。

「お〜い、そんな所で寝ると、風邪引くよ〜?」

控え目に声をかけるが反応はなく、完全に寝てしまったようだ。

良く見るとハル君の周りの床には、空になったビールの缶が十本近く転がっているではないか…

「あ〜ははは…」

将来が楽しみだね〜これは…

僕は立ち上がって、ハル君を起こさないように抱きかかえるとベッドに運んだ。

全く起きる様子もなく…寝息を立てるハル君の顔をしばらく眺めてから居間に戻ると、飲み直す事にした。

「…何かあったのかな〜二人の間に…」

ボソリと呟いて宙を見つめると、切ない気持ちが胸をよぎっていった…

ああ…これは誰の記憶だろう…フレア…?

それとも、ロイズ…?


自分の意識は、いつの間にか遠い遠い過去へと飛んで、海底の世界をただよっていた…
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