海の花は雪
「…ハルのせいじゃないよ…100%自分のせいだから…」

「…何があったの?」

深谷君はたずねると、ゆっくりと手首の包帯をほどき始めた。

「…実は昨日の夜…つい…うっかり、あの呪文を唱えてしまって…」

そう言うと、スルリとほどけた白い包帯の下の手首を、オレの方に差し出した。

その手首の表側…3センチぐらいの辺りに、見慣れぬものを目の前にして、自分は思わず絶句してしまった…

「…それって、もしかして…」

やっと口が開けるようになって、改めて深谷君の顔を見ると、苦渋に満ちた表情をしていた。

凝視した視線の先に見たものは…七色に輝くウロコだった…

人の手首に、ウロコがびっしり生えている様子は異様で…でも、ナゼか美しく…そして、ナゼか笑えた…


深谷君は見せ終えると、器用に包帯を自分で巻いて、そこにある異質なものを隠して言った。
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