海の花は雪
「…ハル…笑っていいよ…我慢すると体に悪いから…」

深谷君が、大人な意見を述べた。

必死で笑いをこらえている自分の姿に、あきれたに違いない…

とても笑えるような状況でないのは百も承知で、自分は声を殺して笑い出してしまった。

人目を引くのもどうかと思い、それでも笑いは止まらず…机にうつぶして、終いには涙まで出てくる始末だ…

ごめんなさい、深谷君…本当ごめん…

心の中では何度も謝りながら、笑いの波が収まるのを待つしかなかった。

あー本当、ごめん…

深谷君は、そんな自分の薄情な様子をただ黙って見ていた。

なんて大人なんだろう…オレなら怒っちゃうよ、本当…



「はぁはぁ…えっと〜ごめんね、深谷君」

「いいえ…それより、これの消し方を教えて下さい…」

「え?消し方?…ないよ?」

「え?」
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