海の花は雪
「…ハル、貸してくれる?」

深谷君も自分の目で確かめるべく、本に目を通していく…

しばらく静寂の時が流れ…パタンと、ハードカバー本の閉じる音がして、深谷君がため息まじりに呟いた。

「…分からない…どこにも書いてなかった…」

「え?もう読んだの?」

「うん、ザッとだけど…」

「もしかして、速読得意?」

「ああ、そうかも…」

「すっごいな〜深谷君…魔法も使えるし…天才?」

「まさか…そう言えば、ハル…昨日、何か夢を見た?」

突然、深谷君が話題を変えてきた。

かすかにだけど、笑ったように見えた…

「あ〜そうそう!見たよ。その話をしようと思ったんだ」

自分は身を乗り出すと、深谷君の方に近づいた。

「昨日、実は海底で…ほら、宮殿を通った時に、白昼夢で出てきた男の人が夢の中に出てきたんだよ。あと他にも、少年とか数人…」
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