海の花は雪
「それってつまり、深谷君がロイズだって証拠じゃない?ロイズは博識だったから…」

あれ?そんな事、本のどこかに書いてあったっけ…?

「ハル…博識なんて、どこにも書いてないから…お互い認めたくないけど、ハルはフレア姫に決定だと思う…」

「いやいや、ほら、何だ、えっと〜ルドかもよ?」

「…ルドは、花好きじゃないから」

「あ〜もう、そういう事を断定的に言っちゃう深谷君は、ロイズ決定ね!」

どこから湧いてくるのか…記憶が泉のように湧き始めている…

それもやたらと古い記憶が…

見た事のない、この学校に咲いていた花畑の幻覚まで、見えてくる気がして…

後ろから誰かに゙フレア゙と呼ばれた気さえして…


「名前の呼び方にこだわる所とか、フレアにそっくりだよ、ハル…ハルはフレア姫なのが、嫌なの?」

深谷君の落ち着いた声が、白昼夢越しに聞こえてくる…

嫌…なのかな…?良く分からない…

ただ、ひどく懐かしくて…でも切ないような…
< 48 / 369 >

この作品をシェア

pagetop