海辺で恋するシンデレラ
1.夢うつつ

  ≪海桜side≫



ここは―――?


無機質な白い天井。

真っ白な壁、そして私が寝ているベッドを囲むように閉められたカーテン。

私の腕には、点滴が繋がれている。


病院?なんで・・・?


「神崎さーん。」


そういいながら、カーテンが引かれ現れる看護師さん。


「気が付いたのね、良かったわ。」

「あの、私・・・」


何故ココにいるのか、分からず看護師さんを見る。


「海で溺れていたところを、助けてもらったのよ~。助かって本当に良かったわね。」


体温計を私に差し出し、点滴のチェックやら身体の様子をうかがっている。


「海・・・溺れてた?」


分からない・・・何の事か分からない。


「あ、あの・・」

「ねぇ、自分の名前言える?」

「え・・・神崎、海桜です。」

「そう、仕事は?」

「え?・・・」


あれ?何していたんだっけ?

私、何処に住んでた?なんで、海に居たの?


分からない。自分の事なのに、全然思い出せない。

何で、なんで―――?


「ごめんなさい。落ち着いて・・・今、担当医を呼んでくるから。」


私の背中を何度も擦りながら、落ち着かせてくれた。


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