海辺で恋するシンデレラ
長身で陽に焼けた肌。茶色で長い髪は1つで纏められている。
彼の優しい笑顔で、女受けはいいのかもしれないけど――――
年齢は、確か俺より4つ上だったから、32歳か。
なんでこんな奴と、あんな可愛い子が付き合ってるんだか
俺には分からなかった。
彼女は決まって、水曜日に海を見ている。
けれど、あの日は水曜じゃなく金曜日だった。
気になって、彼女を見ていると
いつもとは違う、虚ろな目をしたまま
砂浜を離れ、防波堤の方に歩いて行った。
しかも裸足のままで――――
荷物は何も持っていない。
ただ、携帯を右手に握りしめていた。
そして彼女は、躊躇することなく海に飛び込んだ―――――
ちょっと待てよ。彼女、泳げないんじゃ・・・
案の定、彼女は浮かびあがってこない。
ヤバッ―――
俺は既に走り出していた。
そして、彼女が飛び込んだであろう場所へ飛び込む。