海辺で恋するシンデレラ
頼む。生きていてくれ――――
俺はそう願いながら、目を凝らして彼女の姿を探す。
幸い俺は、スキューバのダイブ・マスターのライセンスを持っている。
だからって訳じゃないけど、息もそれなりに長く保っていられる。
しばらく、息を留めたまま辺りを探すと・・・いた。
一度呼吸を整える為に、海上に顔を出しもう一度潜水する。
そして彼女が沈んでいる、場所へ深く潜る。
人は何もしなければ、海では浮くはずなのに・・・
なんて思っていると、彼女の腰にはダイビングで使うウエイト(重り)が付けられていた。
くそっ・・・なんで、こんなこと――――
それを外し、徐々に海上へ連れて行く。
砂浜に彼女を下ろすと、息をしているかの確認をする。
―――していない。
急いで、人工呼吸と心臓マッサージを始める。
こんなカタチで彼女の唇に触れるなんて、思ってもみなかったな。