海辺で恋するシンデレラ
波瑠さんは、寝る間を惜しんで仕事を頑張ってる。
仕事が大切だって事は、私も重々承知している。
「もし、波瑠があなたを選ぶような事があるなら・・・波瑠は今の会社に居られなくなるわ。それだけじゃない。私の父が手当たり次第手を回して、再就職出来ない様にするかも知れないわね。」
そんな――――
そんな事をしたら、波瑠さんは
自分の意思に反して、この高倉麗華さんと結婚せざるを得なくなる。
「そんな事をして、あなたは幸せなんですか?」
「なにを言うかと思ったら、呆れるわ。好きな相手を手に入れられるのよ。これ以上の幸せはないわ。」
「・・・可哀想な人。」
「ふんっ。何とでも仰い。とにかく、よくお考えになって。波瑠の将来を考えて身を引くのか。あなたの我が儘で、彼を奈落の底に突き落とすのか、をね。」
波瑠さんの将来――――――
私は、どうしたら・・・・。
「あ、そうそう。今日は波瑠さんとディナーの約束をしているの。ホテルの最上階のレストランよ。まぁ、あなたには縁のないところかもしれないわね。」
彼女は、そう言い捨てて立ち去った。