海辺で恋するシンデレラ
彼女は俺の顔を見ても何の反応もない。
カフェで何度か会っているし、話もしている。
なのに、何も知らないような顔をしている彼女に一瞬ショックを受けた。
「覚えてない?それも、そうだよなぁ・・・俺、君を助けた恩人なんだけど?」
そういうと、彼女は目を大きく見開き
「あ、すみません。ありがとうございました。」
とペコリと頭を下げ、お礼を言った。
ただ頭を下げただけなのに、それがなんともかわいいと思う。
思わず、クスッと笑っていた。
「ねぇ、君。なんで、海に飛び込んだの?」
ちょっと、失礼かもしれないけれど
やっぱり知りたくて・・・あの日、泳げないはずの彼女が
なんで海に飛び込んだのか。
「あ、の。私、記憶が無くて・・・」
彼女の言葉に、息を詰まらせた。
―――――記憶がない?なんで?