海辺で恋するシンデレラ
「もし、良ければ。私を助けてくれて時の事教えてくれませんか?」
気丈にもそんな事をいう彼女。
「怖くないの?」
「え?」
「だって、記憶を失くすって事は、それほど嫌な事があったからだって思わない?」
記憶喪失――――――
原因はいくつかあるけれど、心理的ストレスの可能性もあるし
下手に俺の知っている事を話して、大丈夫なんだろうか。
「優しいですね。でも、私知りたいんです。どんなに苦しい事でも。」
彼女は優しい笑みを浮かべながらそう言った。
自分の知らない自分、を知ることは怖いはずなのに―――
もしかしたら、記憶を失くすくらい辛い事が
待ち受けているかもしれないのに
それでも知りたいと願う彼女。
「あなたは、強い人なんですね。」
素直にその言葉が出ていた。
「あの、何か知っているんですか?」
俺の言葉に何か引っかかる事があったのか、俺の顔を覗き込むように
見つめてくる。