海辺で恋するシンデレラ
16.幸せの約束
「じゃ、俺達も帰ろうか。」
「はい。」
私は、自分のアパートに帰るべく駅に向かって歩こうとしたら
後ろから、手を掴まれた。
「何処にいくつもり?」
「え?私のアパート・・・あっ。」
忘れてた。私、引っ越ししたんだった。
朝から、いろいろあり過ぎてすっかり記憶の彼方に消えていた。
なんだか、引っ越ししたのが遠い昔の様です。
「ほら、行くよ。」
波瑠さんに手を引かれたまま、駐車場に停めてあった車に連れられ
そのまま波瑠さんのマンションへ。
予期せぬ展開で
また波瑠さんのマンションに来る事になるなんて。
しかも、今日から一緒に住む事になるなんて、不思議―――――
「はい、海桜。」
そういって手渡されたのは、私が返したはずの合鍵。
なんだか感慨深くって、ギュッと握りしめた。