海辺で恋するシンデレラ
廊下に出ると、店長が病室前のソファに座って待っていた。
「藤堂さん、ですよね?彼女は・・・?」
恐る恐る、近づいてきて聞いてきた彼。
「もう落ち着きました。大丈夫みたいです・・・でも、記憶を失っているみたいで。何か精神的にショックなことがあったのかもしれませんね。」
俺の言葉に動じることなく、ひとつ溜め息をこぼし
「そう、ですか・・・記憶を・・・」
とだけいい、それ以上話さなかった。
なんで、こんなに冷静でいられるんだろう。
俺だったら、耐えられないかもしれないのに――――――――――
こいつ、本当に彼女と付き合ってるんだろうか?
「今日は、そっとしておいてあげた方がいいですよ。じゃ、俺仕事に行くんで。」
疑問に思いつつ、そう言ってその場を離れた。
その日は、仕事中も彼女の事が頭から離れなくて
明日も行こうと考えていた。