海辺で恋するシンデレラ
「ただいまー」
「波瑠、お帰りっ。あのね、あのねっ」
波瑠が帰ってくるなり、報告したくてウズウズしていた私は
両手を握ってブンブン振りまわす。
「海桜、落ち着いて。身体の調子はいいの?」
「うん。今日ね、朱莉さんが来てね、それでね・・・」
「分かったから、リビングに行こう。」
玄関先で、騒いでいた私を
冷静に、リビングに連れていく。
そして、手を握ったままソファに向かい合わせで座った。
「それで?」
「ん?・・・あっ、赤ちゃんだって。」
「へ?」
「波瑠と私の赤ちゃん。ココに居るんだって。」
下腹部に手を添えてそう訴えてみる。
だけど、波瑠は固まったまま動かない。
あれ?喜んでくれると思ったのに・・・
「本当に?」
「・・・ぅん・・・。」
風船がしぼんだみたいに、さっきまでの勢いは薄れ
声が小さくなる。