海辺で恋するシンデレラ
そんなの分かんない。
でも、でもこんなのイヤなの・・・。
何かが違うって、頭の隅の方で叫んでいるんだもん。
次の瞬間、店を飛び出していた。
そして、走った先にあったのは砂浜だった―――――
「なんで、こうなるんだろう。」
夕陽に染まる海辺を見ながら
ぽろぽろと零れてくる大粒の涙を、何度も拭う。
「あれ?海桜ちゃん?」
こ、この声は・・・
「藤堂、さん――――」
藤堂さんの顔を見た瞬間、私は彼に抱きつき大声で泣き始めてしまった。
彼は驚いた顔をしたけれど、泣いている理由を聞く事もせず
ただ静かに、私が泣きやむまで背中を優しく擦りながら側に居てくれた。
「う・・んっ・・ごめ、んなさい。突然、こんな・・・」
「無理しなくていいよ。俺の胸で良ければ、いつでも貸しちゃうから。もちろん、海桜ちゃん限定で。」
茶目っ気たっぷりの笑顔を浮かべながら、ギュッと抱きしめてくれた。
藤堂さん、とっても温かい。
なんだか安心する――――何故だろう。