海辺で恋するシンデレラ
夕陽が海に沈みまで、藤堂さんは私と一緒に居てくれた。
「ありがとうございました。あ、藤堂さん何か用事があったんじゃ・・・」
「んー、大したことじゃないよ。あ、海桜ちゃん。その藤堂さんって止めない?」
「え・・?」
「波瑠、でいいよ?」
突然に言われて、戸惑ってしまう。
だって、年上の男性にそんな事を言われたのは二度目だったから。
「それは、出来ないです・・・」
「そっかー。まだまだ、だな俺は。じゃぁ、もっと仲良くなっていつか海桜ちゃんに波瑠って呼ばせて見せるからね。」
「ふふっ・・・はい。」
「あ、やっと笑った。やっぱり笑顔の海桜ちゃんが一番だよ。」
藤堂さんの言葉に、顔が熱くなるのが分かる。
よかった、夕陽が沈んだ後で・・・。
陽があったら、きっと私の顔は真っ赤だったから――――
一瞬、藤堂さんが私の恋人だったら良かったのに、なんて
都合のいい事を思ってしまった。