海辺で恋するシンデレラ
恩人・・・海で溺れていた私を助けてくれた人?
「あ、すみません。ありがとうございました。」
ペコリと頭を下げ、お礼を言った。
すると、男の人はまたクスッと笑った。
この人の笑顔は、何というか太陽みたいだなぁ。
なんて、漠然と思っていた。
「ねぇ、君。なんで、海に飛び込んだの?」
飛び込んだ・・・自分で海に?
「あ、の。私、記憶が無くて・・・」
すると、彼は目を大きく見開いて驚きを隠せないようだった。
「もし、良ければ。私を助けてくれて時の事教えてくれませんか?」
知りたい。
私は、何故そこに居たのか。
どうして、海に飛び込んだりしたのか。
そして、私は何者なのか。
「怖くないの?」
「え?」
「だって、記憶を失くすって事は、それほど嫌な事があったからだって思わない?」
あー、そうかもしれない。
でも不思議な人だな。
溺れていた私を助けてくれただけの人なのに、こんな風に心配してくれるなんて。
きっとこの人は、優しい人なんだな。