海辺で恋するシンデレラ
4.裏切りの夜
私が記憶を失って、3ヵ月が過ぎていた。
仕事にも大分慣れて、以前に近い動きが出来るようになった。
藤堂さんは、今も時々カフェに顔を出してくれる。
それに、いつもの砂浜に居る時は、時間を忘れるくらい話すようになった。
店長は、相変わらずだ。
(あ、嫌悪感から最近は店長と呼ぶ様にしたの)
でも、ある時知ってしまった。
彼は、他にも付き合っている人がいる事に。
それを知ったのは、月曜日の閉店後だ。
私は、忘れ物をしたのに気が付き、店に引き返した。
すると、スタッフルームから微かな明かりが見え
そこに近づいていくと、女性の艶めかしい声が聞こえてきた。
「柊司ぃ・・・もっと、強く・・・」
音を立たせないように、少し扉を開けると
店長と、見知らぬ大人の女性がディープキスをしているところだった。
「やっぱり、お前は最高だよ・・・」
掠れた声でそう囁く店長。