海辺で恋するシンデレラ


「ちょっ、波瑠何してんの!?」


連絡が終わったらしい、夏生が慌てて俺を止めようとする。

けれど、俺の怒りは収まらない。


「純粋な海桜ちゃんの心弄んで、何が面白いんだよっ!」


橘は、殴られた勢いで床に倒れ

悪びれた様子もなく、殴られた際に切れ血が滲んだ口元拭っている。


俺の怒りは橘だけに収まらず、海桜ちゃんの親友にも向けた。


「あんた結城っていったよな?彼女の親友だろ。なんで止めなかったんだ?知ってたんだろ?」


俺の剣幕に萎縮したのか、小さく震えながら答えた。


「だって、柊司さんが言うなって・・・言ったら、もう会わないって・・・」


ぺたんとその場に座り込み、泣き崩れた。


くそっ・・・女の子を泣かすなんて趣味じゃないし

この子も、橘の被害者だと思えば、哀れでやるせない気持ちだ。


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