海辺で恋するシンデレラ
いつ頃からか「お父さん」という言葉も
お母さんの前では言わなくなった。
でも、今目の前にお父さんがいる。
すごく嬉しかった。
『甘えんぼだな、海桜は。』
お父さんは私を抱きとめ、優しく頭を撫でてくれた。
暫くして、お父さんに抱きつきつつ顔だけ上げて聞いた。
「ねぇ、お父さん。さっき言ってた事・・・この泡が私の記憶って」
『そう。あれは海桜の記憶。泡、1つ1つが今まで経験してきた事。』
お父さんは、泡が上がって行った場所を見つめるように上を見る。
『海桜?お父さんがもうこの世の人では無い事は、覚えているね?』
一瞬悲しそうな顔をして私を見つめる瞳。
「おとうさん?」
何故だか、不安になって呼んでみる。