海辺で恋するシンデレラ

ふと頭の中に、一瞬真っ暗な部屋が浮かんだ。

なに、これ・・・。


また浮かんだ。

次は暗闇に浮かぶ、2人の影。



やだ・・・気持ち悪い。

この人に触られるのが、嫌だ―――――


何故だか分からない。

けれど、今この瞬間、この女性に触られたくない衝動にかられた。

それと同時に、頭に酷い痛みが私を襲った。


「いやっ・・・触らないで・・いやぁぁぁ!!」


突然、暴れ出した私に驚いたのか皆愕然としていた。

抱きついていた女性も私から離れた。


「はぁ、はぁ・・・あ、痛ッ・・くっ」

「ちょっ・・大丈夫か?おいっ。」


異変に気付いた、恩人さんが慌ててナースコールのボタンを押し

私の背中を擦ってくれた。


やだ・・息が出来ない・・苦しい・・・


「落ち着け・・・大丈夫だから。」

「頭が、痛い・・・」


擦ってくれる、恩人さんの腕をギュッと掴む。



そんな様子を、私の知人だと言う人達は

何が起きたのか状況が把握できない様子で、おろおろしながら見ていた。


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