海辺で恋するシンデレラ
『ね、海桜はもう1人じゃない。何があっても、彼が傍にいてくれるよ。』
お父さんの声がなんだか小さく聞こえて、横にいるはずの
お父さんを見た。
けれど、もう何処にも姿は見えなくて―――――――――――――
『海桜。お父さんは見守っているから。』
優しい声だけ、そこに響いた。
そして、いつの間にか私は周りから溢れ出た泡に包まれ
海上へと浮かび上がっていった。
「お父さん。ありがとう・・・」
*****************************
***************
「・・ん・・・」
目を開けると、そこには私の手を握ったまま寝ている
藤堂さんがいた。
「・・・藤堂さん?」
「っ!?」
ガバッと顔を上げ私を見つめる、優しくて深い瞳。
「海桜ちゃん・・・良かったぁ。ゴメンね。気が付いてあげれなくて」
私を抱きしめ、優しく背中を擦ってくれる。
藤堂さんの温かくって大きな手。
好きだな―――――――――――――