海辺で恋するシンデレラ
6.手の温もり
目が覚めた私は、全ての記憶を取り戻していた。
きっとあの時のシャボン玉のような泡が
私の身体を包んだから。
お父さんは、あの泡1つ1つが私の記憶だと言っていた。
藤堂さんの事も、全て思い出していた。
記憶を無くす前にもcafeに何度か来てくれていた事。
ダイビングが趣味で、沖のポイントの波や風の状況を確認していた事。
そして、密かに私が想っていた事。
それは記憶を全て取り戻した今でも変わらない。
むしろ好きという気持ちが、増えている。
「海桜ちゃん。はい、コレ。液晶が壊れていたから修理してもらったよ?」
そういって手渡されたのは、私の携帯。
あ、待ち受け見ちゃったかな?
そう思って、恐る恐る藤堂さんを見上げると・・・
「海桜ちゃん。言ってくれたら、いつでも撮らせてあげのに・・・」
クスクスと笑っていた。