海辺で恋するシンデレラ

・・・亜紀。

ズキンと胸が痛む。

藤堂さんも心配したのか、不安そうな顔で私を見ている。


「亜紀が・・・ありがとうございます、夏生さん。もし亜紀に会うことがあったら、私がお礼を言っていたと伝えてもらえませんか?」

「分かった。」

「あ、それと・・・私達はずっと親友だから、って。」


私がそういった直後、廊下のほうからパタパタパタと足音が

遠のいていった。


もしかしたら、亜紀がそこに居たのかもしれない。


また、高校時代のように仲良く笑い合える日が来るといいな・・・

そんなことを思っていた。


「サンゴちゃん、もしかして記憶戻ったの?」


夏生さんは、紙袋を手にベッドサイドに近寄ってきた。


さんご、ちゃん?

そういえば、さっきもサンゴちゃんって言ってたけど

もしかしなくても、私の事だよね?


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