海辺で恋するシンデレラ
「神崎さん?」
少し慌てたように、看護師と担当医が入って来た。
中の様子を見て、直ぐに駆け寄ってくる。
「神崎さん、もう大丈夫だよ。落ち着いて・・・」
声をかけつつ、看護師に次々と指示を飛ばす担当医。
はっ・・あ、うっ・・・
私は言葉にできず、荒い呼吸をつづけていた。
「すみませんが、皆さん部屋の外に出てください。」
看護師の人が、知人と言う2人と恩人さんを部屋の外に出るよう促す。
2人は、静かに外に出て行くが、恩人さんは出て行けない。
理由は私がずっと腕を握っていたから。
「俺は、どうしたら・・・」
「神崎さん、手を離してあげて・・・」
看護師さんが声を掛けるけれど、私は嫌だった。
この手を離したくない。
何故だかその時そう思った。
「もし、良ければこのまま治療していただけませんか?」
「でも・・・」
「分かりました。では、彼女を励ましてあげていてください。」
そういうと、担当医が手際よく措置していく。