海辺で恋するシンデレラ

「あれ?ダメだった?」


俯いた私を気に掛けるように、覗き込んでくる。


紅くなった顔を見られたくなくて

フルフルと首を左右に振るのが精一杯。


「良かった。好きだよ、海桜・・・」


私の頬に、チュッと音を立てて優しいKissをした。



あ、わわ・・・海桜って初めて呼び捨てにされたし

Kissまで―――――

顔だけじゃなく全身が真っ赤になってくる。


「あーやってらんない。こんな激甘な波瑠、見たことないわ・・・じゃぁ、お邪魔虫はとっとと退散しますかね。」


半ばあきれたように、溜め息を付きながら病室を出て行った。


「あぁ、帰れ帰れ。」


追い払うように手をヒラヒラさせて見送る。


「あの。藤堂さん、いいんですか?」

「なにが?」

「夏生さん、あのまま帰しちゃって・・・」


すると、眉間に皺を寄せて「んー」と唸る藤堂さん。


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