海辺で恋するシンデレラ
「嬉しいから?」
「だから、なんで?」
「だって・・・嫉妬してくれたんですよね?」
すると、藤堂さんの顔がバッと赤くなって顔を逸らした。
さらに顔を隠す様に、口元に手を持っていく。
「波瑠さん。」
「――――っ」
驚いたように、目を大きく見開いて私を見つめる。
だから、もう一度呼んでみた。
「波瑠さ・・キャッ」
呼び終わらないうちに、波瑠さんに抱き締められていた。
波瑠さんの温かくって、広い大きな胸。
背中を擦る、大きな手。
それに、柑橘系の爽やかな香水は仄かに私を包む。
「はぁ~。あんまり可愛い顔して、言わないで・・・俺、抑えが効かなくなる。」
熱い吐息が耳を掠める。
私の事を大切にしようと思ってくれているのが、全身から伝わる。