海辺で恋するシンデレラ
精神安定剤を投与され、暫くすると私は落ち着いて
ベッドに横になっていた。
「ごめんなさい。ありがとう・・・」
ずっと側で手を握っていてくれた、恩人さんにお礼をいった。
「いいよ。それより、気分は?」
「大丈夫・・・。」
「じゃ、また来るよ。俺、藤堂波瑠って言うんだ。何かあったら、連絡して。」
そういうと、波瑠はポケットから名刺を一枚取り出し渡してくれた。
「私は・・・。」
「神崎海桜さん、でしょ?少しだけ君の事知ってるから。また、話にくるよ。」
「はい・・・。」
彼が、また来てくれると思っただけで
ほんの少しだけ、心が温かくなっていく気がする。
だけど、今日来てくれた私の知り合いだと言う人には
悪い事をしてしまったかもしれない。
あの真っ暗な部屋と、その部屋に浮かぶ2つの影・・・
あれは、何だったんだろう―――――