海辺で恋するシンデレラ

波瑠さん、助けて――――――


頭に浮かぶ波瑠さんの笑顔。

彼がくれた携帯電話には、2人のツーショットの写真が

待受け画面に表示されている。


震える手でかばんを探り

携帯を取ると、ギュッと握りしめた。



それのお陰か、少し落ち着いてきたものの

まだ心臓が、バクバクいっている。


ゆっくりと、塀の向こうを見ると

既に店長・・・いや橘さんの姿は無かった。


良かった―――――

「あっ、バイト遅刻しちゃう。」

慌てて、アパートの向う。



アパートの影で、私を見つめる視線に気がつかないまま――――



< 96 / 218 >

この作品をシェア

pagetop