海辺で恋するシンデレラ
波瑠さん、助けて――――――
頭に浮かぶ波瑠さんの笑顔。
彼がくれた携帯電話には、2人のツーショットの写真が
待受け画面に表示されている。
震える手でかばんを探り
携帯を取ると、ギュッと握りしめた。
それのお陰か、少し落ち着いてきたものの
まだ心臓が、バクバクいっている。
ゆっくりと、塀の向こうを見ると
既に店長・・・いや橘さんの姿は無かった。
良かった―――――
「あっ、バイト遅刻しちゃう。」
慌てて、アパートの向う。
アパートの影で、私を見つめる視線に気がつかないまま――――