おれんじ・ちょこれーと


アソコに行こう、と動いている足に急ブレーキがかかったのは後ろから腕を引かれたから。
振り返らなくてもわかる安堵できるあの腕の中。


「待てよっ!蜜柑っ!俺の気持ちは………どうなるんだよっ!!」


感情的に怒鳴る悠にウチは暴れながら反論する。


「な、によっ!なん………やねんっ!!………知らんやんかぁっ!そんな、ん!離せっ!!」

「離さない。もう、」


ジタバタと暴れるウチをより強い力で抱き締める。強い力で抱き締められてるのに痛くない。こんなところで加減されてると思わされる。




あぁ、ここがあんまり人気のない場所で良かったと安堵する余裕があるのは追ってきてくれたことが嬉しかったから。
でも、それでももう、許せないんや――


「やめぃっ!それでもっ!………ウチは大嫌いやっ!」

「蜜柑……」


切なげにウチの名前を呼ぶのもやめて。
もう、嫌やのに。惑わされるのはもう嫌やの。
だって、だって、



好きやのに、なんで。



「もう、辛いねん……」


不釣り合い、だと自分でも思う。
だから、悠がそれに対してどうこうすることも出来ひんのはわかってるけど。

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